天下三庵(てんか さんあん)
正受庵(しょうじゅ あん)
長野県の北部には、臨済宗の正統法嗣である正受老人こと道鏡慧端(どうきょうえたん)禅師が住んでいた正受庵があります。正受庵は臨済宗・中興の祖と名高い白隠慧鶴禅師が修行した所なので、現在でも臨済宗の聖地とされています。
正受庵は災害や廃仏毀釈運動で廃庵になりかけましたが、禅者であり剣士でもあった山岡鉄舟(やまおかてっしゅう)らの活動により、昔の姿のままで保存されています。また、長野県の北部には戸隠神社や、絶対秘仏で有名な善光寺もあります。
至道庵(しどう あん)
正受老人こと道鏡慧端禅師は、かつて江戸にあった至道庵で修行を積みました。至道庵の庵主は、応・燈・関の法脈を嗣ぐ至道無難(しどうむなん)禅師です。残念ながら至道庵は戦時の空襲で焼失してしまいましたが、現在は東北寺(とうほくじ)と名を改めています。
輝東庵(きとう あん)
輝東庵は名刹・瑞泉寺の塔頭寺院であり、正受庵、至道庵と共に天下三庵に数えられています。瑞泉寺の御開山は日峰宗舜(にっぽうそうしゅん)禅師で、ある時期まで歴代住職が臨済宗の正統法嗣を勤めていました。
因みに、日峰禅師は妙心寺三世の無因宗因(むいんそういん)禅師であり、無因禅師は妙心寺二世の授翁宗弼(じゅおうそうひつ)禅師の弟子です。授翁禅師は大徳寺を開山した大燈国師(宗峰妙超)の弟子であり、妙心寺を開山した関山慧玄(かんざんえげん)禅師に参禅しています。