修行僧らの食事事情

2020年7月7日2019年粗食, ぬか漬け

僧侶達の食事事情

元々、仏教の僧侶は午後に食事(固形物)を摂りません。海外の上座部仏教の僧侶は、その戒律を今でもキチンと守っています。僧侶は托鉢にて食を賄い、施された食べ物なら肉でも何でも普通に食べます。

中国大陸経由の北伝・大乗仏教は、一日三食キチンと食べます。宗派による違いが大きいので一概には言えませんが、基本的には菜食主義で肉は食べないとされています。

禅僧も、基本的には午後に食事を摂らない事になっています。酒を般若湯と言い換えるように、夕飯の事を薬石と言うそうですが、禅僧の場合は作務(仕事)があるので、夕飯を食べないと体がもたないみたいです。

ヒンドゥー教、もしくは仏教以前のバラモン教の僧侶は、ベジタリアンが多いそうです。一般的に、上位カーストの人ほど食事に関する戒律に厳しいとか。インド版の雲水と言えるヨーガのサドゥー(行者)は、全粒粉のパンとミルク入りの紅茶や、米と野菜と豆を適当に煮たものを食べています。

 

気になるのは、そんな食事で健康を維持出来るのかという所です。実際、曹洞宗永平寺で修行する人達は、栄養不足で脚気を患ったりするのだとか。でも、しばらくするとそういう食生活に体が慣れてくるそうです。

そう言えば、ボクサーの辰吉丈一郎氏は、減量の為に食事は一日一回、それも極少量という生活を長年続けていたと聞きました。それでも戦う為の肉体を維持出来るのだから、人体とは凄いものです。

ダイエットにおけるリバウンドのように、いきなり食事量を減らすと病気になりますが、じっくりゆっくりやっていけば、厳しい食事事情に体が適応してくれます。その過程もまた、修行と言えるのかも知れません。

 

 

別に修行僧と同じ事をしなくても良いじゃない

我々凡人が彼らに学ぶ事はあっても、そのまま真似をするのは難しいです。だって肉うまいもん。酒うまいもん。美味いもん食うの、やめらんないもん。そんな俗な我々でも「粗食を楽しむ」事なら出来る筈です。

少し前まで「一日30品目を食べよう」と言う運動がありました。これは1985年に厚生労働省が言い始めたものですが、2000年頃には生活指針から外されています。これを真に受けて、毎食献立で苦しむ人が続出したという笑えない話があります。

食事の度に必須栄養素を全種体内に流し込まなくても、そう簡単には病気になりません。逆に病気になる時は、何を食べていてもなるものです。因みに、管理人は中国家庭の「週単位で必須栄養素を摂る」という考え方が好きで、5~6年ほどそれを実践しています。もちろん、体調悪化の実感はありません。

 

隠遁生活においては、体調管理こそがメイン業務と言えましょう。だって、ストレスフリーの生活なのに、自堕落な生活をして早死にしたら、もったいないですからね。そもそも私の場合は坐禅がしたくて隠遁したのに、病気ばかりしていたら肝心の修行が出来ません。

それと同じ理由で、体調管理や食事の準備に時間をかけ過ぎる訳にもいきません。故に、粗食でありながらも栄養のバランスが良く、しかも美味しい食事の作り方を勉強する事になりました。

個人的な最終目標が坐禅道場での修行である以上、禅僧の食事をベースにするのは当然です。朝はお粥で、一汁一菜が基本の菜食主義。しかし、学生の頃は柔道の選手だった私にとって、正直、この食事内容には耐え難いものがあります。何せ牛丼の特盛りを三杯、普通に平らげるようなバカッ腹ですので。

 

 

徐々に体を慣れさせる

隠遁生活を始めた頃の食事は、ハッキリ言って滅茶苦茶でした。何故なら、職場のストレスを美食や飲酒で解消していたからです。体調管理では無く、快楽を得る事が目的の食事だと、こうなるのは当たり前です。

いきなり食事の量や質を落とすと、反動で無茶喰いがしたくなるものです。なので、御飯を炊くのではなく、三食共にお粥にしました。お粥は腹に溜まりませんが、炊き増えするので量を食べてもたかが知れています。しかも炊きたての粥は美味しいです。

最初は朝に二合炊いて、昼と夜の食事の際に温めていましたが、これだと夜のお粥が激マズになるので止めました。夜に御飯を炊いて半分残し、朝はおじやにするのは結構良かったけれど、次第にやらなくなりました。江戸時代の庶民のように、朝に御飯を炊いて、昼はおにぎり、夜はお茶漬けというのも悪くありませんでした。

 

色々試してみましたが、何だかんだで毎食半合のお粥を炊くという形に落ち着きました。以前のように仕事で体を動かさないので、食事の回数は朝と晩の二回だけになり、空腹感で辛い時には味付けをしないプレーンのポップコーン(業務用は安い)を作ったり、常備菜の蒸しブロッコリーや焼きカボチャを食べるようになりました。

栄養素は常備菜を工夫すれば補えますが、御飯の糖質をエネルギーに変えるには、結構な量のビタミンB1が必要です。豚肉を食べたり玄米食にすれば解決しますが、米ぬかを除去していない玄米が美味しい訳が無いですし、豚肉は高いし脂っこいので調理と洗い物が面倒です。

麦飯にするという手もありますが、お粥に麦を混ぜるとマズくなります。なので、自分でヌカ漬けを作る事にしました。気付いてみれば、朝はお粥にヌカ漬けが定番となり、結局は禅僧と同じメニューになっていったという訳です。



 

 

隠者の朝食

大袈裟なサブタイトルですが、これが今朝の食事です。お粥に半熟卵、おかずはゴマ塩と大根のヌカ漬けと言うメニューです。米は5kgで1700円の安米を半合、ゴマ塩はゲランドの塩をひとつまみ。重要な栄養源なので、ヌカ漬けの量はやや多めです。金額は100円以下ですが、なかなか美味しく頂けます。

寝起きの暁天坐禅をする前に、土鍋を火にかけておけば、修行が終わった頃にお粥も炊き上がります。お腹の空き具合によっては、常備菜や納豆をつける事もあります。

 

 

食事を済ませたら、応量器代わりの漆器にほうじ茶を注ぎます。禅僧はたくあん漬けを一枚残して湯を注ぎ、鉢を洗うそうですが、後で普通に食器を洗うなら、そこまでしなくても良いでしょう。

粗食は粗食ですが、禅僧とは違って食事の量はそこそこあります。自分で言うのも何ですが、かなり美味しいので満足感が非常に高いです。物足りなさは全く感じません。

 

 

晩御飯は割と普通の一汁一菜です。ガス釜で一合の御飯を炊き、ジャガイモやタマネギなどの根菜で具だくさんの味噌汁を作ります。おかずは魚介類が多いですかね。歳の所為か、ちょっとばかり牛肉が苦手になってきました。

気が向いたら晩酌も楽しみます。肴は古くなったヌカ漬け(古漬け)が多いです。古漬けを薄切りや細切りにして、生醤油を垂らせば「かくや」になります。スーパーでは売ってませんよね、美味しいのに。みんな自宅で菌活すれば良いのに。

冷蔵庫に入れておけば、かき混ぜるのは週一でもOKです。ヌカ床がダメになったら、やり直せば良いだけです。私だって二回もヌカ床をダメにしてますが、今はもう扱いに慣れました。

下記リンクのヌカ床は既に発酵済みなので、買ったその日から菌活を始められます。チャック付きなので、入れ物を買う必要もありません。


 

 

ヌカ漬けに慣れたり、ヌカが減ってきたら、こちらのヌカ床を足すと良いみたいです。Amazonで高評価を博しているそうです。


 

 

ヌカ床の入れ物ですが、私は壺派です。コンパクトな四角いホーローの入れ物でヌカ漬けを作るという方法もあるようですが、それだと雰囲気が出ないので却下です。壺は重いし、あまり使ってて良かったと思う事も無いのですが、これが私のスタイルなので仕方がありません。

愛しのヌカ床「三代目」です。三代目という名前なのです。ヌカ床は生き物なので、ペットを飼うのと同じ感覚です。今回も大根を漬けてありますが、ニンジンのヌカ漬けも大好きです。ヌカ味噌臭さは、幸せの匂いなのです。

 

 

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2020年7月7日2019年粗食, ぬか漬け

Posted by 清濁 思龍