神奈備信仰と風飡水宿の最終形
今週の動向
臨済宗・南禅寺派(りんざいしゅう・なんぜんじは)の大本山、南禅寺(なんぜんじ)に行ってきました。南禅寺はその名の通り禅宗の寺院ですが、開基は神道の祭祀王たる第90代・亀山天皇です。亀山天皇は当時の新興宗教だった禅宗や真言律宗に理解を示し、自らが開山した南禅寺で出家しています。
亀山天皇の影響で公家の中に禅宗が広まり、それが幕府の禅振興政策に繋がって京都五山が選定されました。南禅寺はその京都五山よりも格式が高い日本初の勅願禅寺であり、その開基である亀山天皇は日本の禅宗の歴史における重要人物であると言えます。
また、臨済宗と天狗には不思議な因縁があり、南禅寺の奥の院では秋葉山三尺坊を祀っていますし、静岡県にある臨済宗・方広寺(ほうこうじ)と鎌倉の建長寺(けんちょうじ)でも半僧坊大権現(はんそうぼう だいごんげん)を祀っています。
別の日に、奈良県は生駒山地・信貴山(しぎさん)にある、朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)に行ってきました。信貴山の開基は聖徳太子ですが、朝護孫子寺の開基は命蓮上人(みょうれんしょうにん)です。
聖徳太子は物部守屋討伐の際、寅年、寅日、寅の刻に、この山で戦勝祈願をして毘沙門天から必勝の手段を授かりました。戦に勝利した聖徳太子は毘沙門天の像を作成し、それを安置する為の御堂を建立したそうです。
その約300年後に、東大寺で受戒した命蓮上人がその御堂に籠って修行を積み、飛鉢(ひはつ)の術や、剣の護法童子を使役する術を会得しました。上人はその術によって醍醐天皇の病気を癒し、朝護孫子寺の開基となり、衰退していた信貴山の中興の祖と呼ばれるようになったそうです。
朝護孫子寺の本堂では、真っ暗な地下道を歩く「お戒壇巡り」をする事が出来ます。また、命蓮上人が山頂に建立した空鉢護法堂(くうはつごほうどう)には、八大龍王の難陀竜王(みーさん)を始めに、数多くの龍神が祀られています。
生駒山にしても、信貴山にしても、根底にはストイックな神奈備信仰と密教があるのに、バリバリの現世利益肯定で凡聖一如と言った感じなのが面白いです。どちらの山も神仏習合のパワースポットですし、気功や坐禅などを行うスペースも確保出来るので、修行場としては最高の環境だと言えます。
個人的な感想としては、生駒山と信貴山は全体的な雰囲気がほぼ同じだったので、個別の山として見るのではなく「生駒山地(いこまさんち)」として見るべきだと思いました。
また、同じ奈良県の大和三山や丹生川上神社・中社、または富士の樹海にある竜宮洞穴でも主(ぬし)とでも言うべき神霊の存在を感じたのですが、それとは若干の違いはあるものの、この生駒山地でも圧倒的な神霊の存在を感じました。
現時点では分からない事が多過ぎますけど、とにかく生駒山地は凄い所ですし、滝行場が多い所もポイントが高いです。こんなに心惹かれる場所に出会ったのは久しぶりなので、管理人は年甲斐も無く興奮しております。
風飡水宿の最終形について
今週も風飡水宿ノ行をしにいきました。タープはほぼ確実に一人で張れるようになったので、念願のハンモック泊をしてみました。とは言えデイキャンプなので、ハンモックで一夜を過ごした訳ではありません。それでもすっと前から試したかった事をやれたので、かなりの達成感がありました。
ハンモックは日頃の昼寝で使っているのですが、未だに一晩熟睡するまでには至っていません。どういう訳かハンモックで長時間寝ていると首が痛くなってくるので、蚊帳付きのハンモックを買いたいと言う気持ちはあっても、実際に購入する段階になると気が引けてしまうのです。
10月の半ば入っていくらか涼しくなりましたが、まだ日差しが強いのでタープを張っていても汗だくになってしまいます。その所為かキャンプをするとやたら疲れるので、今の時点ではキャンプ前提で遠出をしたり、連泊をするのは難しいみたいですね。
風飡水宿の最終形は、霊山登山のテント泊(しかも連泊)や、四国で野宿前提の歩き遍路(徒遍路・かちへんろ)をする事だと思っています。国内の街中で野宿などしたら警察がすっ飛んで来ますが、四国には通夜堂(つやどう)という施設があるので、野宿の旅をする事が可能になっています。
因みに通夜堂とは、お遍路さんの為の無料簡易宿泊施設であり、他にも善根宿(ぜんこんやど)や遍路宿(へんろやど)と呼ばれる無料か低料金で宿泊できる宿もあります。
野宿の徒遍路を考えているのは私だけでは無く、たまにそれを実行してしまうクレイジーな人や、修行として徒遍路をする僧侶が居るようです。
何の準備もせずに四国一周、約1200kmの道程を野宿遍路などをしたら、近隣住民に迷惑をかける事になるのは必定です。なので、最初はクルマ遍路かバイク遍路をして十分なデータを揃えてから、野宿遍路を実行する事を考えています。
徒遍路は大体40~50日ほどかかるという話がありますし、行き帰りの交通費、食事代、宿泊費用、洗濯代なども考えると、かなりのお金が必要になります。因みに、四国在住の知り合いが徒遍路をした時は、大体50~60万ほど使ったと言っていました。
自炊と野宿をすれば食費と宿代を大幅に削減する事が出来ますが、スマフォやカメラなどの電源確保と健康管理の問題が出て来ます。
電源の問題はリュックにポータブル・ソーラーパネルをつけるか、必要に応じて宿坊に泊まれば解決しますが、徒遍路の最中は毎日のように何kmも歩き続ける訳ですから、日頃から長距離を歩き慣れていないと途中でリタイアする羽目になります。
また、マットとシュラフで寝る事に慣れておかないと、野宿の際に寝られなくて健康を損ねてしまいます。ただ、人目につかない森林の中でタープ&ハンモック泊をするという手もあるので、なるべく早くハンモック泊を可能とするタフな肉体を仕上げたい所です。
食事については、三食全て外食とフルグラで賄えば殆どゴミが出ないし、持ち物もかなり減らせるとは思います。でも、私は絶対に自炊をしたくなるでしょうし、お遍路ならガスボンベと食材の調達には困らない筈なので、その為に調理器具とメニューをキッチリ詰めていく方向で考えていきます。
調べてみると、手押し車に荷物を載せて半年かけて四国を一巡している先人も居るようなので、ひょっとしたら死ぬまでお遍路をし続けると言うスタイルもあるのかなぁと思ったりもしました。
実際、昔のお遍路は命懸けで、途中で命を落とす方も居たそうです。遍路道の傍らには旅の途中で亡くなった方を供養する遍路墓がありますし、客死したお遍路さんの記録を残している寺院もあるそうです。
私としては、老後は禅寺の寮に入って坐禅三昧の日々を過ごすつもりでしたが、墓標代わりの金剛杖を突きながら、死ぬまで野営と坐禅とお遍路を続ける生活も悪くないなぁと考えるようになってきています。