禅的ミニマリズム・応量器(おうりょうき)編

割れない器を求めて

管理人は自他ともに認める食いしん坊です。ミニマリストになる前は、食器や調理器具に拘りまくって、かなりのお金を使いました。しかし、陶器やガラスの器は、どんなに大事にしていても壊れるのが困りものです。

お気に入りの皿とか、ぐい飲みとか、珍しい中国陶器の麺鉢を誤って割ってしまったり、地震で大切なガラス製品が全滅した時は、流石に堪えました。その後、アウトドア用のステンレス製コッヘルや、竹製、プラスチックの器も試しましたが、何故かすぐに飽きてしまいました。

ある日、禅僧が応量器という入れ子椀の食器を使っている事を知りました。何でも、応量器は禅僧が托鉢する時にも使う器で、大事な修行道具なのだとか。応量器に浪漫を感じた私は、曹洞宗の大本山・永平寺が近くにある福井県の鯖江市にすっ飛んで行きました。

 

 

鯖江は越前漆器の街であり、永平寺御用達の応量器を納入している店もあります。しかし、残念ながら修行中の禅僧(雲水と言う)が使っている応量器と同じものは、市販されていないようでした。だとすると、市販されている応量器の中から一つ選ぶ事になります。

応量器は修行の道具であり、一生ものの食器です。出来れば本物の漆器を購入して末永く大事に使っていきたいものですが、そもそも本物の漆器とは何なのでしょうか? 因みに、安価な漆器はカシュー塗装やウレタン塗装のものが多く、いくら大事に使っても漆器独特の味わいは出ないそうです。

伝統的な漆器製法を継承している個人経営の漆器工房の中には、手間暇かけて作成した本物の漆器を販売している所があります。しかし、そういう所の応量器は受注製作なので、最低でも3~5万円はする高額商品になってしまいます。

 

 

応量器ならぬ、応用器(おうようき)

色々探し回った挙句、最終的に私が購入したのは、山中漆器の応用器(おうようき)でした。この商品を選んだ理由は、価格の安さと、手に持った時の軽さです。最初は漆黒の応量器を購入するつもりでしたが、私は出家した禅僧ではありませんから・・・。箱膳 応量器 応用器

 

 

実際に使ってみてどうだったかと言うと、これはもう満足の一言です。応用器は応量器と同じ六客一組の入れ子椀で、作りもほぼ同じです。頭鉢(ずはつ)に相当する一番大きな鉢は見た目よりも容量が大きいので、使い勝手は非常に良いです。

 

 

底の部分は、こうなっています。鉢自体が肉厚な作りになっているので、炊きたての御飯をよそっても熱くて持てないという事はありません。ただ、麺類や鍋物を汁ごと盛り付けると、ちょっと熱く感じます。

 

 

これは二番目の鉢で、主に味噌汁や碗物を盛り付けます。薄くて軽いので、使い易いです。二枚目の鉢から底に高台がつきます。三枚目の器をひっくり返して乗せれば、椀物の蓋にする事も出来ます。

 

 

一番小さいものは、鉢というより皿というべき形状になります。この器に頭鉢を乗せれば、盛り付けた料理の熱がテーブルに伝わる事はなくなります。

 

 

漆器のスベスベとした手触りは良いものですし、器に口をつけた時の感覚も柔らかいです。洗ってもすぐに乾きますし、値段の割には高級感もあります。何より、不注意から落としても割れたりしないのが良い所です。箱膳 応量器 応用器

 

 

応用器は受注生産ですが、在庫があれば即時購入も可能です。

 

 

曹洞宗の禅僧は食事の際に、お盆や、お膳の代わりに、鉢単(はったん)と呼ばれるランチョンマットを使います。これは厚紙に柿渋や漆を塗ったもので、撥水性と携帯性に優れています。

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