坐禅の組み方

2021年2月16日各種メソッド

調身

坐禅をする際には、曹洞宗用の座蒲か、臨済宗用の単布団か、その代用となる物を用意してください。座蒲はビロード布地で中身はパンヤ(カポック種の天然綿)、サイズは一尺(約30cm)の物が良いそうです。


 

 

曹洞宗の二大本山である永平寺(福井県)や總持寺(横浜市鶴見)の売店でも座蒲を販売しています。実物の触感を確かめたり、参拝記念として購入すると良いでしょう。下の写真は永平寺の売店で、ここではビロード座蒲をかなり安く購入する事が出来ます。

 

 

こちらは總持寺の写真です。品揃えは永平寺の方が充実していました。石川県の總持寺祖院や、東京の永平寺別院・長谷寺(ちょうこくじ)にも行ってみましたが、残念ながらそこでは座蒲を販売していませんでした。

 

 

これは永平寺で購入したビロード製の座蒲です。お値段は5200円で、何故か茶色ですが坐り心地はグッドです。使用後は自重で潰れて平べったくなりますので、横の部分を押して丸く形を整えます。親指だけで押すのが正式な作法のようです。

 

 

臨済宗で用いる単布団(たんぶとん)は、楽天様で取り扱っているこの商品のみ、ネットで購入可能です。曹洞宗の座蒲よりも坐禅中の安定性が高く、ヨガマットの代わりにもなるので、坐禅の前後にヨガのポーズを行う事も出来ます。

フローリングの部屋でも短時間の昼寝くらいなら出来ますし、アウトドアのお供として車中泊やテント泊でエアマット代わりに使う事も可能です。因みに、臨済宗の雲水達は、かしわ布団と呼ばれる一枚の布団で寝起きします。残念ながら、かしわ布団は一般販売していないようです。


ツムギ (紺) 臨済宗 ・ 座禅座布団 3枚セット (単布団)
 


ツムギ (黒) 臨済宗 ・ 座禅座布団 3枚セット (単布団)
 

 

 

因みに管理人は単布団を愛好しており、日常生活に取り入れたり、車中泊旅行の際にも使用しております。少々マニアックな記事かも知れませんが、よろしければ御一読ください。

禅的ミニマリズム・座具編

 

 

代用品の座具を自作する場合は、ホームセンターなどで販売している高さ10cm前後の足踏み台をベースにすると良いでしょう。足踏み台の上にホームセンターで売っている「ぴたパネル」を乗せれば、座り心地が硬めの座具になります。

他にも、普通の座布団を二枚重ねて、上の一枚を二つ折りにして段差を作るという方法もあります。

 

 

座具の類を準備したら、心落ち着く静かな場所で、作務衣などのゆったりとした服装に身を包みます。床が畳ならそのまま、フローリングなら普通の座布団などを用意してください。燃焼時間が四十分くらいの線香かインセンスを用意出来れば、なお良しです。

全ての準備が整ったら、座蒲などの上に胡座(あぐら)で座ります。そして右足を左足の腿の付け根に乗せて、左足を右足の腿の付け根に乗せます。この坐り方を結跏趺坐と言います。

結跏趺坐には二種類あり、左足が上になるのは降魔坐という修行者の座法で、右足が上になるのは吉祥坐という如来の座法です。坐禅をする時は、なるべく降魔坐で座るようにしてください。下の「釈迦苦行像」は、吉祥坐の見本です。

 

 

結跏趺坐で座れない場合は、片足だけを乗せる半跏趺坐で座りましょう。この場合も左足が上になります。半跏趺坐で座れない場合は、座具を自作して座高を調整するか、胡座(あぐら)か正座で座ってください。膝が悪い人は椅子坐禅という方法もあります。

坐り方が決まったら、足の上に右手の平を上に向けて乗せて、その上に左手の甲を乗せ、両手の親指の腹がつくかつかないかのギリギリまで近づて「摩尼宝珠(まにほうじゅ・如意宝珠とも)」を形作ります。摩尼宝珠とは、社寺の橋の欄干などで見られるものです。

組んだ手は臍下丹田の前に置き、上半身の力を抜きます。肘は体から少しだけ離してください。この手の形(印契・いんげい)を「法界定印(ほっかいじょういん)」と言います。

 

 

手足の形が決まったら、身体を前後左右に揺すってバランスを取ります。顔は正面、目は半眼にして一メートルほど先に視点を置き、全体をぼんやりと見ます(八方目・はっぽうもく)。上半身は自然に伸ばし、アゴを引きます。舌は上顎に軽くつけ、歯は軽く噛み合わせ、口腔内に空間が出来ないようにします。

そして「仙骨」と呼ばれている脊椎と腸骨(腰骨)を繋ぐ部位の骨を前方に倒して、腰を反らせます。その際、胸まで反らさないように注意してください。立っている時の自然な背骨の湾曲を思い出して、頭部の重量を仙骨で支えるようにすると上手く行きます。猫背では坐禅になりません。

結跏趺坐で姿勢が正しく決まると、仙骨と両膝の三ヶ所で体を支える形になり、とても安定します。他の坐法だとこうはならず、少々不安定になるので注意してください。

 

 

拙い写真&モデルがオッサンで申し訳ないのですが、坐禅中の姿勢を上から撮影してみました。左はただ背筋を伸ばしただけの姿勢ですが、右は丹田をキメています。仙骨を反らして坐っているので、頭部の位置が違います。

頭部の脳脊髄液を体内に循環させるイメージで姿勢を正すと、上手く坐れるようになります。

 

 

臍下丹田に力を入れようとして、腹圧だけをかけ過ぎると胃下垂になりますし、吸気を臍下丹田に落とす角度がズレても同様の症状が出ます。吸気を真下に落とす事と、真下に落とした吸気を腸骨(腰骨)の中心で受け止める事を意識してください。

また、顔の筋肉や喉が緊張していると、何故か臍下丹田に力が入らなくなりますし、仙骨を倒そうとし過ぎると胸が反り、それを警戒し過ぎると猫背になります。上体は地面に対して垂直で、絶対柔軟が基本です。

膝、仙骨、丹田でZ型の土台を作り、そこに上体を乗せて、尻で全体を支えるようにすると上手く行きます。

 

 

調息

坐禅中の呼吸は、基本的に腹式呼吸で行います。ゆっくりと臍下丹田で息を吸うかのように下腹部を膨らませ、ゆっくりと「蒸すように」息を吐き切りながら下腹部をへこませます。

吸気で下腹部をへこませて呼気で下腹部を膨らませる逆腹式呼吸という呼吸法や、呼気吸気の両方で臍下丹田に圧をかけ続ける持続腹圧呼吸という呼吸法もあります。どちらも腹式呼吸と比べると不自然な呼吸法なので、内臓に余計な圧力をかけないように気を付けながら実践してください。

また、吸気の際に肋骨を横に広げる胸式呼吸(動物呼吸)もあります。これを逆腹式呼吸の吸気や、持続腹圧呼吸の際に行うと腹圧をかけ易くなります。

 

 

調心

調心とは、雑念を払い、心の乱れを調える事を言います。しかし、正しい姿勢で臍下丹田に圧を加えれば、自ずと身心と呼吸が整うものです。仏教古来の数息観を試みても良いのですが、臍下丹田に圧を加えながら数息観を行おうとすると、どちらも上手く行かなくなるものです。

いきなり無我の境地を求めるのではなく、まずはしっかりと臍下丹田に圧がかかる姿勢や、何処にも息がつかえず、力まず、楽に呼吸の出来る姿勢を求めて、ゆったりと、全てを解きほぐす気持ちで座りましょう。

 

 

曹洞宗の動画

文章と写真だけではピンと来ないと思うので、坐禅のやり方を説明しているYOUTUBEの動画を貼っておきます。

 

 

数息観とトラタカ冥想

坐禅を始めたばかりの頃は、ただ黙って坐っている事が苦痛に感じるものです。その場合は、己の呼吸を数える事で精神を集中させる数息観(すそくかん)を行うと良いでしょう。数息観はアナパナ・サティとも言い、吸気(アーナ)と呼気(アパーナ)に気付き(サティ)を入れる冥想法です。

数息観の方法には決まりが無く、吸気はカウントせずに呼気だけ数えたり、吸気と呼気で一つとカウントしたり、10まで数えたらカウントをリセットして1に戻ったり、100まで数えたらリセットするなど様々です。なので、色々試して最も自分に向いている方法を見つけ出しましょう。

慣れてきたら、呼吸の際に生じる体内の微妙な変化にサティを入れていくと良いでしょう。サティの数が多ければ多いほど、サティに集中すればするほど、忘我の状態に近づきます。

 

数息観は釈迦世尊直伝の冥想法ですが、実際にやってみると意外と難しいものがあります。例えば数をカウントし忘れて雑念が生じてしまったり、丹田呼吸とセットで行うとやる事が多くなり過ぎて混乱したりする訳です。

あまり上手く出来ないようでしたら、ヨーガの「トラタカ(一点集中)冥想」を試してみると良いでしょう。まず部屋を真っ暗にしてから、なるべく眼球を動かさず、まばたきもしないようにして、眉間の高さに調整したロウソクの炎をひたすら見つめてください。

人間は暗闇の中で炎を見ると安心するように出来ていますし、安心感は集中力を飛躍的に高めてくれます。この動画を見れば、ゆらめく炎と川のせせらぎの音が、驚くほど心を安らかにしてくれるのが分かる筈です。(全画面HD推奨)

 

 

トラタカ冥想で使うロウソクですが、原材料のパラフィンワックスに含まれる毒物の量は非常に少ないという報告があるので、別に100均のロウソクでも構いません。むしろ毒性はアロマキャンドルの方が高いようです。

ロウソクの高さを調整するには、約80~90cm程の燭台を購入するか、丁度良い高さの燭台を自作する必要があります。ただ、ロウソクの裸火(はだかび)は呼吸による空気の動きで揺れるので、人によっては気が散ってしまうかも知れません。

なので、トラタカ冥想をする場合は、風を防ぐホヤがあるキャンドルランタンを使用すると良いでしょう。管理人のお勧めは、ロゴス社のアウトドア用小型キャンドルランタンです。これなら燭台のように場所を取りませんし、約1000円前後と安価です。

 

 

キャンドルランタンを使うメリットは非常に大きく、ロウソクから出る煤(すす)がランタンにつくので部屋の壁や天井が汚れませんし、燭台とは違って紐や鎖などで高さの微調整をする事も可能です。もちろん普通にキャンプ・ギアとしても使えるので、無駄がありません。

ロゴス社のキャンドルランタンは、100均やホームセンターで販売しているティーライト・キャンドルのサイズ(縦2cmx幅4cm)に対応しています。ティーライト・キャンドルの性能は製造会社による所が大きく、ものによっては炎が大き過ぎたり、逆に小さ過ぎたりもします。

私はダイソーで販売しているティーライト・キャンドルを使っていますが、炎の大きさが丁度良く、約3時間ほど火を保ち、動かさなければ蝋が零れたりもしません。

 

 

 

 

ヘミシンク

数息観とトラタカ冥想を試してみて、どちらも上手く行かなかったらヘミシンク®のシリーズを試してみてください。ヘミシンク®はロバート・モンロー氏によって研究開発された音響技術で、異なる周波数の音(バイノーラル・ビート)を聴く事によって、特定の意識状態に変容させるというものです。

ヘミシンク®は強制的に脳と意識の状態を変容させる為、副作用を心配する声もあります。しかし、私は2~3年もの間、毎晩のように明晰夢を見させる効果があるヘミシンク®のCDをかけながら寝ていましたが、別に何の問題も生じませんでした。

ヘミシンク®を坐禅中にかけるなら、コンセントレーションというCDをお勧めします。かけている間はゴーッという唸りしか聞こえませんが、それが集中の助けになります。全くの無音だと耳がキーンとなってしまって、慣れない内は坐禅に集中できません。

 

 

環境音楽をかけた方が落ち着くという方には、ヘミシンク®メタ・ミュージックの「オアシス」をお勧めします。メタ・ミュージックの中では、これが最も坐禅に向いていると思います。

 

 

坐禅には、丹田呼吸という心身鍛練法の側面もあります。古来より日本には丹田を重視する文化があり、それは武術の世界にも取り入れられています。当サイトには独習可能な「丹田操剣法」についての記事がありますので、よろしければそちらの記事もご一読ください。

運動や坐禅が続かなくて困っている方は、やる気を出す方法についての記事を、いわゆる「禅病」を心配されている方は禅病や魔境についての記事を、禅の公案に関心がある方は無門関の記事を御覧ください。

 

2021年2月16日各種メソッド

Posted by 清濁 思龍