坐禅と座蒲
座蒲(ざふ)の歴史
仏教史上最古の座具は「尼師壇(にしだん)」と言う長方形の布で、僧侶が私有する事を許された比丘六物(びくろくもつ)の一つに数えられています。
古代よりインドでヨーガを伝えてきたサドゥー達も、敷物の上でヨーガを行じる事が多いようです。恐らく、尼師壇はそれに倣ったのでしょう。
南伝・上座部仏教の僧侶達は、今でも尼師壇を使っているようですが、中国や日本では礼拝の際にしか使われなくなりました。これは中国仏教における尼師壇の用法を説明している貴重な動画です。
釈迦世尊の没後、28代目に当たるペルシャ生まれのインド人である達磨大師が中国で禅宗を開き、日本に伝わります。初期の中国禅宗では、蒲(がま)の葉を円く編んだものを蒲団(ふとん)と呼び、これを坐禅の時に用いていたようです。
下の写真は、中国禅を今に伝える黄檗宗・萬福寺で撮影した円座(えんざ)です。恐らく当時の蒲団は、これに近いものだったのではないでしょうか。
日本に禅が伝わると、坐禅用の道具である蒲団と、寝具の布団(ふとん)や敷物の座布団(ざぶとん)との混同が起きました。その為かどうかは分かりませんが、曹洞宗では蒲団を座蒲(ざふ)と呼んでいます。
座蒲は曹洞宗の二大本山の売店で販売しています。下は福井県・永平寺の売店の写真です。管理人はここで参拝の記念に、一尺のビロード座蒲(茶)を購入しました。
こちらは神奈川県・總持寺の売店の写真です。品揃えは永平寺の方が充実していました。残念ながら石川県・總持寺祖院や、東京の永平寺別院・長谷寺(ちょうこくじ)では座蒲を販売していません。
座蒲はネットでも購入できます。禅寺で使用している座蒲は綿100%ですが、自宅で使う座蒲はビロード(別珍)布地で中身はパンヤ(カポック種の天然綿)、サイズは一尺(約30cm)の物を選びましょう。
管理人が永平寺で購入した一尺ビロード座蒲に近い座蒲はこちらになります。色は茶色ですが、坐り心地は問題ありません。使用後は自重で潰れて平べったくなりますので、横の部分を押して丸く形を整えます。親指だけで押すのが正式な作法のようです。