禅的ミニマリズム・料理編

2021年10月6日禅的ミニマリズム粗食, 塩活

修行者達の食事

東南アジアやスリランカなどに根付いている南伝・上座部仏教の僧侶は、戒律により午後に食事(固形物)を摂りません。また、僧侶は自炊を一切せず、全ての食を托鉢で賄い、施された食べ物は肉でも何でも普通に食べています。

中国大陸経由の北伝・大乗仏教も、午後からは食事を摂らない事になっています。ただ、上座部仏教の僧侶とは違って作務(さむ)がありますし、厳格なベジタリアンでもあるので、夕飯を食べないと体がもちません。なので夕飯を薬石(やくせき)と言い換えて、薬として摂取しています。

ヒンドゥー教やバラモン教の僧侶も、殆どがベジタリアンです。一般的に上位カーストの人ほど食事に関する戒律に厳しいと言います。因みに、出家修行者であるサドゥー(ヨーガ行者)は、主に全粒粉のパンとミルク入りの紅茶や、米と野菜と豆を適当に煮た粥(キチュリー)を食べています。

 

しかし、修行者達の粗末に過ぎる食事では、健康を維持するのは難しいと言わざるを得ません。長く修行生活を送る内に体が粗食に慣れてくると言われていますが、曹洞宗・永平寺で修行をし始めたばかりの禅僧は、栄養不足で脚気を患ったりするそうです。

また、ボクサーの辰吉丈一郎氏は、減量の為に食事は一日一回、それも極少量という生活を長年続けていたと聞いています。それでも戦う為の肉体を維持出来るのだから、人体とは凄いものです。

ダイエットにおけるリバウンドのように、いきなり食事量を減らすと体を壊しますが、ゆっくりと時間をかけて体を粗食に馴らしていけば、厳しい食糧事情に体が適応してくれます。その過程もまた、修行と言えるのかも知れません。

 

 

食事の基本は一汁一菜

少し前まで「一日30品目を食べよう」と言う運動がありました。これは1985年に厚生労働省が言い始めたものですが、2000年頃には生活指針から外されています。これを真に受けて、毎食献立で苦しむ人が続出したという笑えない話があります。

でも、食事の度に必須栄養素を全種体内に流し込まなくても、そう簡単には病気になりません。逆に病気になる時は、何を食べていてもなるものです。因みに、管理人は中国家庭の「週単位で必須栄養素を摂る」という考え方が好きで、長年それを実践していますが、健康には何ら問題ありません。

先に紹介した修行者達の食生活から学ぶ事はあっても、そのまま真似をするのは難しいものがあります。しかし、少し前まで日本人の食事は一汁一菜が基本だった訳ですし、栄養バランスさえしっかり考えればシンプルな食事を楽しむ事も出来る筈です。

 

炊き立ての御飯と、具沢山の味噌汁、そして漬物の組み合わせは、日本人なら食べ飽きるという事がありません。少々地味な組み合わせなのは否めませんが、食材の持ち味を活かしたり、四季の変化を取り入れて旬を楽しむには、シンプルな食事スタイルの方が良いのです。

 

 

御飯

炊くお米は、研ぐ必要の無い無洗米がお勧めです。米の研ぎ汁には栄養分が大量に溶け出しているので、排水溝に流してしまうと分解し切れず、環境破壊に繋がります。無洗米ならその心配はありませんし、お米の栄養素をしっかり吸収する事も出来ます。

白米だけだと、糖質をエネルギーに変える働きを持つビタミンB1が不足するかも知れないので、押麦を混ぜて麦飯にしましょう。玄米の方が栄養的には優れていますし、水に浸けて発芽させた「発芽玄米」のパワーには目を見張るものがありますが、正直、美味しくはありません。

麦飯はマズいとか、臭いと思っている人が居るかも知れませんが、それは昔の話です。現代の押麦は殆ど臭いがしませんし、歯触りや舌触りも決して悪くはありません。小分けされていない大袋のものなら値段も米と大して変わらないので、可能ならば胚芽押麦の購入をお勧めします。

 

 

御飯を炊く時に、米と具材を一緒に炊き込めば「炊き込み御飯」になりますし、炊いた御飯に具材を混ぜ込めば「混ぜ御飯」になります。大根や人参などの葉っぱを塩もみしたり、湯通ししてから刻んで混ぜれば「菜飯(なめし)」になります。

豆を入れて御飯を炊けば「豆御飯(まめごはん)」になりますし、粟(あわ)や紫米(むらさきまい)などの雑穀を入れて炊けば雑穀御飯(ざっこくごはん)になります。米よりも安価な野菜や穀物の量を増やして炊けば「かて飯(めし)」になります。

また、水の量を増やして炊けば粥(かゆ)になりますし、冷めたご飯を汁で炊けば雑炊(ぞうすい)になります。御飯は我々日本人の主食であり、命の糧であり、豊かさの象徴であり、魂そのものです。だからこそ、米料理や料理法にこれだけ沢山の名がつけられているのです。

 

 

味噌

味噌は豆味噌がお勧めです。豆味噌は八丁味噌とも言いますが、これは愛知県岡崎市八帖町(旧八丁村)で生産された豆味噌だけに許されたブランド的な呼び名です。現在は「カクキュー」と「まるや」の二社だけが八丁味噌を生産していて、他の製品は豆味噌と呼称する事になっています。

豆味噌は水分が少なく腐敗しにくいのが特徴です。また、他の味噌は煮込むと風味が飛んでしまいますが、豆味噌は煮込むほどに味やコクが増していきます。天下人の徳川家康は八丁味噌が大好物で、わざわざ江戸まで取り寄せていたという記録が残っています。

豆味噌には「アルギニン」というアミノ酸が含まれていて、成長ホルモン合成の促進や、免疫力の向上、疲労回復などの効果が期待できます。

 


 

 

また、豆味噌は風味が中華料理の甜面醤(テンメンジャン)と似ているので、代わりに使う事も出来ます。豆板醤(トウバンジャン)と豆味噌で回鍋肉(ホイコーロー)が出来ますし、仙台味噌と合わせて味噌汁や味噌炒めを作ると物凄く美味しくなります。

昔から「味噌は気骨に効く」と言いますし、朝に味噌汁だけでも飲んでおけば、午前中くらいは体力を保てるものです。味噌汁を作る余裕も無い時は、味噌を茶に溶いて味噌茶にしたり、味噌に削り節をかけて「かちゅー(かつお)湯」にするという手もあります。

また、味噌汁は昆布と鰹節と煮干しで出汁(だし)を取るものと相場が決まっていますが、水に煮干しを一晩漬けただけでも美味しい出汁を取る事が出来ますし、この出汁がまた豆味噌と良く合うのです。煮干しの頭とワタを取ると上品な味になるので、是非試してみてください。

 

 

味噌汁と言えば、ワカメと豆腐の味噌汁や、ネギと豆腐の味噌汁などの定番料理を連想するかも知れませんが、基本的には鍋物と同じで何を入れてもOKです。わかめと卵の中華風にしても美味しいですし、トマトとアスパラのイタリアン味噌汁も意外と美味しかったりします。

また、味噌汁に小麦粉を水で溶いた水団(すいとん)を入れたり、蕎麦粉を湯で練った蕎麦掻き(そばがき)を入れれば主食になります。冷めたご飯を入れて炊けば味噌雑炊になりますし、闇鍋よろしく余り物を適当に入れてみてるのも面白いです。

味噌汁は我々日本人を料理のストレスから解放し、時短の柱となってくれる重要な料理であり、栄養バランスに優れた健康的な食生活を約束してくれる有り難い料理です。

 

 

漬物

江戸時代の庶民も一汁一菜が基本でしたが、当時は御飯と味噌汁と漬物だけで、おかずが無いというスタイルが多かったようです。玄米のように精米度合いの低い米は美味しくないですが、その代わり極めて栄養価が高いので、このような食事でも体を維持する事が出来たのです。

因みに、昔の米は現代のものよりタンパク質が多かったので、御飯を沢山食べて運動をすれば筋肉ムキムキの肉体を造れたようです。しかし、タンパク質の多い米は美味しくないので、現代の米は品種改良によってタンパク質が低くなっており、肉や魚からタンパク質を摂取する必要があるそうです。

タンパク質はともかく、米と味噌だけではビタミンが足りません。そこで米糠を発酵させて野菜を漬ける「糠漬け(ぬかづけ)が考え出されました。糠漬けは発酵食品なので、乳酸菌の働きにより生野菜の状態よりも栄養価が高くなっています。

 

最近は「菌活(きんかつ)」と言って、善玉菌を積極的に食事から取り入れたり、腸内環境を整える事が勧められています。菌活は代謝力や免疫力を高めるので健康や美容に効果がある為、以前よりも納豆やヨーグルトの人気が高まっていますし、中には自宅で糠漬けを漬け始める人も居るのだとか。

因みに、管理人はホームセンターなどで販売している大型の民芸調の壺で糠漬けを作っているのですが、正直、これはあまりお勧め出来ません。夏場はちょっと油断しただけで糠床の表面をビッシリとカビが覆い尽してしまいますし、そうなる度に糠漬けの味が低下していきます。

糠床の腐敗を完全に防止する手段はありませんが、冷蔵庫に入れておくと発酵(腐敗)の速度を落とす事が出来るので、毎日かき混ぜなくても良くなります。大型の壺は糠に漬け易いのは確かですが、冷蔵庫に入れ難いという欠点があるのです。

 

 

最近は小型サイズの琺瑯(ホーロー)製の糠漬け器が人気ですが、それは冷蔵庫内での収まりが良いからです。特に野田琺瑯や、富士ホーロー製の、水取り器がついている製品がお勧めです。

 

 


一汁一菜については、料理研究家の土井善晴氏の著書「一汁一菜でよいという提案」が参考になります。氏は「食との向き合い方に悩む人にとって、わかりやすい入口になるように」と思って、この本を書いたそうです。

 

 

塩にこだわる

個人的には、最もシンプルかつ究極の和食は「塩むすび」だと思っています。美味しく炊き上げた御飯をきゅっと握って形を整え、パラリと塩を振って食べるだけでも立派な料理として成立しますし、良く出来た「塩むすび」は意外な程に高い満足度を与えてくれるものです。

しかし、同じ「塩むすび」でも、使う塩によって味と料理の格が変わります。例えば、塩化ナトリウム99.5%以上の高純度な精製塩で「塩むすび」を作ってもあまり美味しくはなりませんが、これを自然塩に変えると同じ御飯とは思えないほど美味しくなります。

自然塩の中には有機物やミネラルなどの不純物を多く含むものがあり、それが料理に複雑な風味を加えてくれるのです。岩塩の不純物はそれほど多くありませんが、海水と海藻で作る「藻塩(もしお)」や、釜で煮詰めずに作る「天日塩(てんぴえん)」は多量のミネラルを含有しています。

 

しかし、安い藻塩は美味しくないですし、天日塩は基本的に高額です。単純に入手のし易さだけを考えるなら、駅ビル・デパ地下などで販売している「海の精」か「ゲランドの塩」がベストの選択になるでしょう。

 

 

ゲランドの塩は粒の粗いものの方がお安く手に入りますし、スパイス用のミルで挽けば粒を細かくする事も出来ます。塩は粒の大きさで感じる塩気の強さが変わるので、粒を細かくすると減塩につながるという説があります。

 

 

天日塩を突き詰めていくと、最後は皇帝塩という商品に辿り着きます。皇帝塩は中国の歴代皇帝が愛用してきた天日塩で、特殊な塩田に満潮時の深層海水を引き込んで結晶化させた後、更に1~2年ほど置いて「にがり」成分を流出させています。その名の通り、最高級の塩と考えて良いでしょう。

 

 

塩焼き

肉や魚に塩を振って焼くという料理法は、誰でも真っ先に思いつく料理法であり、最もポピュラーな料理法と言えるかも知れません。この料理法は粒の大きい粗塩(あらしお)の方が向いていて、特にキャンプの焚火で塩焼きにした肉や魚は、人間の野性的な部分を満たしてくれるような気がします。

塩焼きはガス&フライパンで焼くよりも、炭火&網焼きの方が絶対に美味しいです。余計な脂が落ちてヘルシーになりますし、焼けた脂で燻されるので薫りも良くなります。そして、そこに自然塩の複雑な味わいまでもがプラスされるのです。

良い食材をゲットしたら、シンプルに天日塩を一つまみ振って、軽く焼くだけ。他には何も要りません。

 

 

塩煮

煮物は簡単に見えますが、複雑で奥の深い料理法です。めんつゆで食材を適当に煮るだけでも、それなりに食べられるものが出来ますが、実は天日塩だけでも煮物を作る事が出来るのです。試しにカボチャを購入して、天日塩で煮てみてください。驚くほど甘くて美味しい煮っころがしになりますから。

食材を塩煮にすると変色を防ぐ事が出来ますし、栄養素が煮汁に流出する事も防げます。また、大根などの野菜を塩煮にすると、柔らかくなって食べやすくなります。塩煮に酒や出汁などを入れれば更に風味がアップして、料理としての完成度も高くなります。

冬は鍋が美味しい季節です。煮干しか昆布を一晩浸けた出汁に、天日塩と日本酒と胡椒を少々加えて肉や野菜などを煮込めば、美味しい「塩鍋」が出来上がります。

 

 

味噌と醤油も塩が決め手

日本人の食を支えている味噌や醤油についてですが、高い商品なら必ずしも天日塩を使っているという訳では無いので、選ぶのが難しいと言わざるを得ません。海の精を使った豆味噌もありますが、天日塩とは明記していないし、値段も高く、一般的なスーパーにも置いていません。

 

 

海の精を使った醤油もありますが、豆味噌と同じで天日塩とは明記していないし、値段も高く、近所のスーパーで見かける事もありません。

 

 

因みに、管理人は愛知県に本社がある自然食品の販売店、株式会社フォーユーの塩・味噌・醤油を一括で購入しています。フォーユーの製品はどれも無添加が基本ですし、使用している天日塩は皇帝塩と同じ物なのに、価格帯はかなり抑えられています。

もちろん調味料の「さしすせそ」は全てラインナップされていますし、他にも水晶の原料である石英斑岩(せきえいはんがん)を使った商品などもあるので、個人的には継続して購入するならフォーユーの製品で揃えるのがベストの選択であると考えております。

フォーユーの製品に興味がある方には知人の代理店を紹介しますので、下記のお問い合わせフォームからご連絡ください。

 

 

 

2021年10月6日禅的ミニマリズム粗食, 塩活

Posted by 清濁 思龍