清濁 思龍

古則公案・SS

私説・世尊拈花(せぞん ねんげ)

これは釈迦世尊が在世の頃の話です。成道後の世尊は、インドの霊鷲山(りょうじゅせん)と呼ばれる聖地に壇を作り、そこで大勢の弟子たちに説法をするようになりました。 ある日の事です。いつものように世尊は壇に上がり、ありがたい説法をされるのかと思い...
古則公案・SS

私説・奚仲造車(けいちゅう ぞうしゃ)

むかしむかし、ある高名な和尚さんが、とある禅僧にこう問いかけました。「 奚仲(けいちゅう)は車を発明し、百台も造った。だが、最後は車輪と車軸を取り外した。彼はそれにより、何を明らかにしたかったのか?」 老僧「・・・とまあ、これが無門関・第八...
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私説・香厳上樹(きょうげん じょうじゅ)

むかしむかし、中国は唐の時代に、香厳智閑(きょうげん ちかん)という優れた禅僧がおったそうな。香厳和尚は「自分自身が木の上で手も足も使わず、枝を咥えてぶらさがっている所を想像し、その状態で祖師西来の意(禅とは何か)について答えてみよ」という...
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私説・徳山托鉢(とくざん たくはつ)

これは遙か昔、中国大陸での話である。ある日、高名な老僧Aは、一日中托鉢(たくはつ)の修行をしていた。托鉢とは、布施するも無心、それを受けるも無心、お互いに執着の心を離れて功徳を積み合う大切な修行だ。 托鉢を終えた老僧Aは、寺で食事をしようと...