脳疲労を癒すトラタカ冥想・改

2021年9月16日各種メソッド

止まらない「脳内の独り言」

現代人の脳は勉強や仕事で酷使されており、その上、各種メディアやネット上に氾濫する過剰な情報を処理し続けている為、慢性的な「脳疲労」の状態にあります。脳疲労の状態が続くと、常に頭がボーッとして物事を深く考えられなくなったり、自律神経が乱れて心身の不調を招いたりします。

疲れているなら休ませれば良い話ですが、脳疲労は「情報中毒」とセットになっている場合が多く、その場合は休息よりも、情報収集によって得られる快楽を選んでしまいます。例えば、スマフォ依存やゲーム依存は情報中毒の典型的な症状であり、かなり危険なサインです。

更に脳疲労の症状が進行すると、雑念の暴走により日中はおろか、睡眠中でも脳を休ませる事が出来なくなくなります。四六時中、絶え間なく頭の中で雑念が渦巻いていて、しかもそれを全く制御できず自力では止められなくなると、遅かれ早かれ精神を病んでしまいます。

 

私自身、学生時代はTVゲームに嵌っていた為、常に脳疲労の状態にありました。その頃はいつも頭がボーッとしていて、これっぽっちも難しい事を考えられず、日々、バカ丸出しの生き恥を晒していました。恐ろしい事に、当時の私は自分の将来について、何も考える事が出来ない状態だったのです。

己の狂いっぷりを自覚したのは、社会学者である加藤諦三先生の著書を読んだ17歳の時でした。その時から「正気とは何か?」と疑問を持つようになり、その疑問はやがて「本当に正しい事を知りたい」という探究心に変化していきました。

求道の途中でTVゲームには関心が無くなりましたが、悟りという形で探求が終わった後も、思考癖と脳疲労は私を苦しめました。その苦しみは会社勤めを辞めて隠遁生活に入り、内観(サイコダイビング)によって己が心の奥底に、ある種の「狂気」が存在する事を突き止めるまで続きました。

 

狂気の正体は、長年の習慣と化した脳の悪癖であり、意味のない雑念の塊であり、暴走して制御不能となった「独り言(ひとりごと)」でした。それはまるで私の別人格と言える存在にまで成長していましたが、正体さえ分かってしまえば摘み取るのは簡単でした。

肥田式強健術から学んだ姿勢による丹田の形成と、気功の導引術を合わせれば、まるで停止スイッチを押したかのように脳の暴走が止まります。脳の暴走が止まった私は、道端の石コロのように何もせず、何も考えずに「ただ居る」事が出来るようになりました。

この「ただ居る」という状態を経験しなければ、これこそがあらゆる存在にとっての「正気」の状態である事と、なかなかそうはなれない人間という存在の異常性を理解するのは難しいと思います。

 

 

脳内の「独り言」を止める方法

誰でも今すぐ姿勢による丹田形成が可能であるなら、四の五の言わずに坐禅をすれば、直ちに脳疲労や「独り言」の問題は解決します。しかし、残念ながら問題はそう簡単ではありません。何故なら、姿勢による丹田形成には、年単位の修行と工夫が必要になるからです。

その修行と工夫を楽しめるなら良いのですが、情報中毒の人にとって坐禅の時間は苦痛以外の何物でも無いので、まず続けられません。というか、脳の暴走を止められず狂気に吞み込まれている状態では、如何なる冥想法や神秘行であっても真価を発揮する事が出来ないのです。

自力で脳の暴走を止められないなら、外部からのヒーリングや、薬物の摂取などの手段が必要になってきます。しかし、酒やタバコに代表される合法的なドラッグでは、脳の働きを鈍らせるのが精々で「独り言」を止めるまでには至りません。

 

自然環境の音や、クリスタルボウルの音には「1/fゆらぎ(エフぶんのいち ゆらぎ)」の要素が含まれていて、これを聴く事でリラクゼーションやヒーリングの効果が得られます。また、マントラや読経にも似たような効果があるので、色々試して自分に合うものを探してみましょう。

好みの話になりますが、私はシンギングボウルと焚火の音の組み合わせが好きなので、度々この動画を利用させていただいています。

 

 

YOUTUBEには膨大な数のヒーリング系動画がアップロードされていますが、どれも効果が感じられないとか、より強い効果を期待する場合は、アメリカの超心理学者であるロバート・モンロー博士が開発した「ヘミシンク®」を試してみると良いでしょう。

ヘミシンク®は左右の耳に異なる周波数の音を聴かせる事で脳波を同調・誘導しようとする、バイノーラル・ビート理論に基づいた特殊技術です。

長時間聴いていると脳にダメージを受けるという噂がありますが、私は約2年間メタ・ミュージックというジャンルの音源を自宅で流しっぱなしにしましたが、特に問題は生じませんでした。ただ、人によって向き不向きがあるようなので、まずはYOUTUBEにアップロードされている音源を試してみましょう。

 

 

バイノーラル・ビートは左右のスピーカーによるステレオで聴かなければ効果を得られないので、環境によってはイヤフォンかヘッドフォンが必要になります。その際、ノイズキャンセリング機能が無く、耳全体をスッポリ覆う大型のヘッドフォンを使いましょう。

何故なら、ノイズキャンセリング機能があると音源によっては周波数音をカットしてしまう事がありますし、小型のヘッドフォンを使っていると耳たぶが痛くなってくるからです。イヤフォン難聴やヘッドフォン難聴については、そもそもヘミシンクは大音量で聴くものでは無いので問題ありません。

「ヘッドフォンに詳しくないので、何を選べば良いのか分からない」という人には、オーディオ・テクニカ社の製品の中では比較的安価なエアーダイナミック・オープン型ヘッドホンをお勧めします。

 

 

因みに、これは私がヘミシンク用として愛用してきた、オーディオ・テクニカ社のヘッドフォンです。約一万円と少々お高いのが難点ですが、出来ればこのクラスの製品を使う事をお勧めしたい所です。

 

 

布団やベッドに寝転がりながらヘミシンク®を聴くのも良いものですが、ハンモックという選択肢もあります。Susabiハンモックは寝具として開発されたハンモックなので寝心地が良いですし、フレームの組み立ても簡単です。特にメキシコ・マヤ式のハンモックがお勧めで、私も自宅で愛用しています。

 

 

ヘミシンク®の動画が気に入ったなら、音源CDを購入してみましょう。リラクゼーション用やメディテーション用の音源はいくらでもあるので、最初に購入するなら、集中力を高める「コンセントレーション」が良いと思います。

値段も他のシリーズに比べて安いですし、音楽ではなくゴーッというノイズのような音しか入っていないので、聞き飽きるという事がありません。

 

 

人によっては視聴覚に訴えるより、散歩などの軽い運動の方が効果的な場合もあります。どちらかと言うと、ジョギングや登山のように激しい運動の方が脳内の「独り言」を止める効果は高いのですが、疲労によって免疫力が低下して風邪を引いたり、膝関節を痛めてしまう事もあるのが問題です。

運動の習慣が無い人や、体重がある人の場合は、プールで水中ウォーキングや潜水をすると良いでしょう。他にも、歌を歌ったり、お経を唱えたりするのも効果的です。その場合は音が反響する部屋の中、集団で行う事によって効果が倍増します。

要するに、山での気圧の変化や、プールの水圧、音の振動などを利用して脳に刺激を与えれば、ある程度は暴走を食い止める事が出来るという訳です。

 

 

やや本格的な行法

仏教寺院では、釈迦世尊が開発したと言われる数息観(すそくかん)という冥想法を教えています。数息観は呼吸に意識を集中して、ゆっくりと呼吸の数を数えるというものですが、仏教では基本にして最重要の冥想法と言われています。

しかし、数息観は脳内の「独り言」を止める為の行法ではないので、現代人には敷居が高く、殆どの人がいくらもしないうちに挫折してしまいます。

昔は僧侶が出家すると、約一年ほど「無言の行」をやらされて、それが済むまでは教義や冥想法を教えてもらえなかったと言いますが、ひょっとするとそれは脳内の「独り言」を止める為の処置だったのではないかと思う事があります。

 

ですが、現代人に「無言の行」など出来る訳が無いので、別の方法を考えなければいけません。それで約二年ほど自分自身を実験台にして様々な行法やテクニックを試してみたのですが、最終的にヨーガの「トラタカ冥想」こそがベストだという結論が出ました。

トラタカ(Trataka)とはサンスクリット語で「凝視する」という意味で、具体的なやり方としては、暗い部屋でロウソクに火を灯し、只管(ひたすら)その炎を見つめ続けるというものです。一見、簡単そうな冥想法ですが、実際にやってみるとなかなか続くものではありません。

ものは試しという事で、まずは下の動画で20分ほどトラタカ冥想をしてみてください。禅僧のように結跏趺坐を組んでも良いですし、椅子に座ってリラックスした姿勢で見ていても構いません。目線はロウソクと同じ高さにして、なるべく眼球を動かさないようにします。

 

※全画面HD推奨です。開始直後と終了時に鈴(りん)が鳴るので、音量を調整してください。

 

 

どうでしょうか? 恐らく動画が始まって10分前後で飽き飽きするか、沈黙に苦痛を感じて止めてしまう人が殆どだと思います。

YOUTUBEにもいくつかトラタカ冥想用の動画がアップロードされていますが、どれも飽きずに見続けられるよう音や映像に何らかの工夫をしています。

つまり、ヨーガ式のトラタカ冥想を行うだけでは脳内の「独り言」は止まらないし、そもそも冥想法としての難易度が高過ぎて、継続して行うのは難しいのです。

 

その事を理解する事が出来ましたら、先ほど紹介したシンギングボウルや、ヘミシンクの音源、またはお好みの音楽を流しながら、ヨーガ式のトラタカ冥想をしてみてください。恐らく、少しだけロウソクの炎を見つめられる時間が長くなる筈です。

次に、実物のロウソクを使って、ヨーガ式のトラタカ冥想をしてみてください。使用するロウソクの種類は何でも構いません。100均で購入できる仏具用の10号ロウソクや、カップに入ったティーライトキャンドル、または蜂の蜜蝋や和蝋燭など、色々試してみると良いでしょう。

恐らく、動画のロウソクよりも、実物のロウソクを使う方が、トラタカ冥想をし易くなる筈です。何故なら、実物の炎には雑念や迷妄を焼き尽くし、邪気を祓う力があるからです。つまり、頻繁にトラタカ冥想を行えば、心身の浄化と共に、室内の浄化も行えるという事です。

 

しかし、ロウソクは溶けた蝋や、溶け残った蝋の後始末が面倒です。この画像は100均のティーライト・キャンドルですが、芯が燃え尽きているのでもう火が着かないわ、蝋は溶け残っているわ、アルミ製カップのゴミは出るわで散々です。

 

 

また、不純物の多いロウソクを燃焼させると有害物質が発生する事があるので、室内でのトラタカ冥想を習慣にするなら、カメヤマローソク社のリキッド・キャンドルを購入する事をお勧めします。

リキッド・キャンドルはパラフィン・オイルを使用する小型ランタンのようなもので、ロウソクとは違って火力の調整が出来ますし、煤も出難く、溶けた蝋の後始末をしなくても良いというメリットがあります。

パラフィン・オイルの原料は石油なので、ミネラル・オイルとも言われています。純度の低いミネラル・オイルには有害物質が含まれていますが、純度の高いものは有害物質が除去されている為、化粧品やベビーオイル等に使われています。

 

リキッド・キャンドルにはいくつか種類がありますが、一番のお勧めは小型なのに8時間も燃焼し続けるガラス製の「プチボトル」です。因みに、Amazonや楽天などで300円前後の値段で販売しているリキッド・キャンドルボトルは、プラスチック製の使い捨て商品です。

 

 

リキッド・キャンドルも裸火のままだと危ないので、キャンドル・ランタンの使用を推奨します。カメヤマローソク製のキャンドル・ランタンなら間違いはありませんが、ナカムラ商事のローソク立てステンレス風防ならば、プチボトルにジャストフィットします。

 

 

より大きなサイズの商品をお求めの方には、「Sサイズ」のボトルをお勧めします。高さは9cmあり、オイル満タンの状態だと約12時間も燃焼し続けます。

 

 

ネットで購入する事が出来る最も安価なパラフィン・オイルはこちらです。ホームセンターでも販売している事があるので、入手するのは簡単です。

 

 

リキッド・キャンドルのボトル自体はそれほど熱くならないので、オイルと一緒にドライフラワーを入れて植物標本(ハーバリウム)にする事も出来ます。こういう遊び方はロウソクでは出来ませんね。

 

 

リキッドキャンドルの裸火と、ステンレス風防、カメヤマ製チムニーランタンを比較する為の動画を作りました。よろしければ見てやってください。

 

 

トラタカ冥想・改

ここからはヨーガ式のトラタカ冥想をアレンジした、当サイト流の「トラタカ冥想・改」について説明します。やたら仰々しいネーミングではありますが、内容は至って簡単です。

まず、就寝の一時間前くらいに電灯を消して、ロウソクの明かりだけで過ごす習慣を身に付けてください。この場合はロウソクの炎を見つめ続ける必要はないので、TVや動画を見たり、音楽を聴くなどして自由に過ごしてください。

就寝の一時間前に消灯する習慣を身に付けたら、次にTVや動画や音楽などを止めてみましょう。そしてベッドや布団やハンモックに横たわりながら、ただボーッとロウソクの炎を眺めるだけの時間を作ってみましょう。眠くなったら寝てしまっても構いませんが、その前に炎を吹き消す事だけは忘れずに。

 

とは言え、炎を吹き消し忘れてそのまま寝てしまう可能性は誰にもあるので、キャンドルランタンにロウソクを入れてからトラタカ冥想・改を実践する方が無難です。因みに私はカメヤマ製のリキッド・キャンドルをチムニーランタンに入れたり、ステンレス風防に差し込んで使っています。

 

 

何もせずボーッとロウソクの炎を眺める事が出来るようになったら、少しづつで良いので、電灯や家電を使わずにロウソクの明かりだけで過ごす時間を増やしていってください。理想は21時消灯ですが、流石にそれは現代人には難しいと思うので、可能な限りで結構です。

そして、たまにで良いので、電灯や家電を一切使わず、ロウソクの明かりだけで一晩を過ごしてみてください。自宅でトラタカ冥想・改を実践するのも面白いものですが、キャンプ場で行ってみるのも一興です。

何度も実践していくうちに、電灯というものがどれだけ便利かという事と、電灯のせいでどれだけ生活のリズムが乱されているかを実感する事が出来る筈です。

 

 

脳疲労は大部分が文明の発達による影響で、その影響を減らせば減らすほど脳の負担も減っていきます。部屋の光量を落とせばそれだけ見える範囲が狭まりますし、音が少なくなればそれだけ情報処理も楽になります。

誰でも心身が疲弊すると暗くて静かな所に行きたくなりますが、それは脳が過剰なストレスを減らす為に、無意識のうちに情報を遮断しようとするからです。

しかし、情報中毒の状態に陥ると、脳はより強烈な刺激と興奮によってストレスを吹き飛ばそうとします。そのストレス発散の手段としてスマフォやゲーム、パチスロやナイトクラブが選ばれる訳ですが、刺激によって刺激を打ち消せる筈も無く、脳は更に疲労し、狂乱の度合いを深めていきます。

 

脳疲労と情報中毒による狂気から解放されると、沈黙に寛(くつろ)ぐ事が何よりも尊いと感じるようになります。それは退屈などではなく、ずっと浸っていたいと思えるような「安らぎ」なのです。

 

 

最後は坐禅に挑戦するべし

「トラタカ冥想・改」に慣れ親しむにつれて、脳疲労は緩和されていきます。ある程度まで脳疲労が緩和されれば、ヨーガ式のトラタカ冥想や、数息観に挑戦する事が出来るようになりますし、そうなればやがて自然な形で坐禅・只管打坐にステップアップしていきます。

畢竟、坐禅による無念無想は丹田練磨の恩恵であり、臍下丹田は脳の強制停止スイッチです。それ無しで坐禅をするには、現代人はあまりにも忙し過ぎるという事です。

坐禅の組み方

 

2021年9月16日各種メソッド

Posted by 清濁 思龍